金融業界とは
金融業界というと、お金をダイレクトに商品として扱うという点で、ある種の怖さや特別な感覚を持ってしまう人もいるかもしれません。
しかし、「金融」とは、「お金が余剰なところから、不足しているところへ移動する。」ということです。現代社会で生活する私たちにとって、物質的にも精神的にもお金は必要なものです。そしてお金は、一つのところにとどまるものではありません。化粧品を買うために支払ったお金が、誰かの食費に充てられ、自分が携わった商品に誰かがお金を支払って購入していく…お金の役目の一つは「とどまっていない」ということであるともいえ、その流れには私たちの生活が関わっているのです。
そのお金のさまざまな流れに携わるのが、「金融」という業界の仕事です。
近年の業界再編・法改正などにより、人材の動きが活発な銀行・証券を中心とする金融業界では今、どのような人材が求められ、どのようにすれば仕事を得ることができるのでしょうか。
金融業界での働き方
金融の仕事は「お金」を商品にするわけですから、しっかりとした知識とそれを証明する資格が必要となってきます。そのため、他の業界よりも経験者が優遇される傾向があります。
しかし、未経験だからといってあきらめることはありません。「資格が必要」ということは、逆にいえば「資格さえ持っていれば就職するチャンスがある」ことなのです。
では、それ以前の資格も経験もない人がそこに行きつくまでには、どうすればよいのでしょうか?
金融業界の仕事の中でも、銀行や生保の仕事などには、資格や経験がなくても、事務の経験やOAスキルなどを活かしてできる仕事があります。まずは、そのような仕事をしていく中でその分野の知識をつけていき、経験を積む、または資格を取得することで、本格的な金融の仕事に就く、という風に、ステップアップしていくことができます。
企業の中には資格取得を支援してくれるところもあります。また、仕事に携わりながら資格の勉強をしていくということは、現在の仕事と直結しているという点で、環境的にもメリットがあります。
生命保険は契約期間が長期に渡るため、保険料の計算が複雑になる場合があります。ですので、数字に強い人のほうが向いている仕事です。
また、対面、電話でのお客様とのやり取りも多くあります。お客様の信頼を受けて、長期に渡って生命保険に加入して頂く為にも、知識のほかにビジネスマナーや円滑に話を進めていけるスキルが必要になります。
一方、損保・証券事務の仕事は、その職業に就くために必要な資格があります。
証券事務の場合、コールセンターでの株式の受発注業務、商品説明、資料請求対応といった仕事では、「証券外務員資格」が必要となります。こちらの仕事は、2004年から一般の人でも取得が可能となっています。
また、対面での顧客との業務も多くありますので、こちらも、聞く力や基本的なビジネスマナー、協調性などのヒューマンスキルが必要になります。
次に損保事務の場合ですが、損害保険会社での保険商品に関する事務作業を行うため、損害保険会社の社員以外は「損害保険募集人資格」が必要となります。
また、損害保険は車や建物、傷害、火災などの多くの部門に分かれているため、その分野ごとに特化した知識を学ぶ必要があります。
専門性の高い仕事ですので、未経験者の採用は難しくなりますが、損害保険会社によっては、研修制度が整っている会社もあります。
最後に、クレジット業務というのがあります。これは、クレジットに関する業務すべてにかかわる仕事で、受付・電話問い合わせなどです。また、デパートに出向して新規会員獲得のための、営業的な仕事もあります。
クレジットを全く知らないお客様にも説明が必要なため、カードに関する深い知識が必要です。
金融業界に必要な資格
・損害保険募集人資格
損害保険会社の社員以外が損害保険商品の取り扱い業務に関るときは、この損害保険募集人資格が必要となります。これは初級から普通、上級、特級の階級が設けられ、より上位の資格を持て要るほうが有利に働きます。
・損害保険代理店資格
こちらは必須ではありませんが、もっていると有利に働きます。普通、上級、特級の3階級に分かれており、こちらもより高い資格が優遇されます。
このように、金融の仕事は、「資格を得ると行える業務の幅も広がる」仕事です。また、システムの改新や様々なケースに対応する必要があるため、仕事に就いてからも勉強が必要な職業だともいえます。「この資格が必要」というよりは、「勉強し続ける意欲、姿勢」が、金融業界で働くために一番必要なものかもしれません。
金融業界での挑戦
ご紹介したとおり、金融業界の中でも業種はさまざまであり、同じ金融業界内でも転職すると新しい知識をつける必要があります。しかし、金融業界の再編に伴って、各業種間の垣根が低くなっている今、もしあなたが金融業界での仕事を経験しているのであれば、その知識は必ず役に立つはずです。
証券会社から信託銀行へ転職したある方は、やはり風土やお客様への提言の仕方は異なる、といいますが、逆にそれまで培ってきた証券の知識を教えたりする機会があるといいます。
また、派遣社員として未経験から知識を身に付け、資格取得された方は「いい意味で派遣の枠をこえられる」と、資格を取ることで仕事のやりがいが増えたようです。
大手の会社では仕事が細分化されているところもあるため、一度に多くの知識を得る必要もなく、少しずつ知識をつけていくうちに興味を持ち、自ら資格取得のために勉強をし始めた方もいます。
金融事務職への希望
金融業界で得る知識には、普段の生活に役立つ知識が多くあります。また、資格を持っていることで、結婚・出産を経ても就職しやすい、という強みがあります。
また、経験を積んでいくことでどんどん次のステップに上がっていくことができるという点で、自分自身の「成長」も感じられる仕事です。
そういった意味で、「金融の仕事」とくくってしまうのではなく、自分たちの大切な「お金」をうまく取り扱うことのできるようになる仕事、自分の将来に合う仕事として捉えることで、あなたが思っている以上に金融の仕事への可能性は高まっていき、自分自身の仕事への可能性も広がっていくのではないでしょうか?
パソナキャリアでは、全国各地に設置された金融センターで、仕事の相談や案内をはじめ、金融業界の知識についてのセミナーや、資格取得や実務取得講座など定期的に開催しています。未経験者が資格を取得することから、仕事に就くまでの、サポート体制が組まれています。
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